「別れ」についてのアンソロジーが出会いをつれてきた2024年のこと
うぉんうぉーさん主催の一次創作イベント・合同誌主催や創作者に寄与する活動をしている人が1年を振り返るAdvent Calendar 2024 12月17日の記事をお送りします、麻こと柳川麻衣と申します。
私は今年、12月1日の文学フリマ東京39にて『わかれについてのエトセトラ』というアンソロジーを発行しました。
きっかけは、私自身がある「別れ」を10年以上引きずっていることです。別れた相手とはいわゆる恋愛関係だったわけではなく、とはいえ友だちというには少し重い間柄で、今でもその関係をひとことで言いあらわすことはできません。誰でも読める場所に書いたりせずに、ひとりで死ぬまで抱えていくと決めていたその「別れ」を、この数年どうにも持ちきれなくなってきて、こういう思いでいるのは私だけなのだろうか……と投げかけてみたくなった、という、きわめてパーソナルな動機でした。
あと「別れ」は恋愛関係でばかり語られているけど、友だちとの別れのことももっとみんな話してほしい、と最近めちゃくちゃ思うようになって、そういう話を書きたいな〜とぼんやり思っています。
— 麻 (@asa_co) October 26, 2019
今週よけいなことをしゃべり(ツイートし)すぎたおかげで、めちゃくちゃ仲がよかった友人との別れをしみじみ思い出してしまってしみじみつらい。友人でも恋人でもいいけどみんなはつらいお別れをどうやって乗り越えて生きているんですか?乗り越えるのは無理なのであきらめて生きていく感じですか?
— 麻 (@asa_co) October 16, 2021
だれか私に別れた友だちの話を聞かせてほしい、あるいは私の別れた友だちの話を聞いてほしい
— 麻 (@asa_co) January 1, 2023
「忘れられない別れ」の話、もっと具体的に聞かせてもらいたいし、私も話したいということがわかったので、何かしたい…何ができるかわからないけど…。何かする際には乗ってやってもいいよ、と思われたかた、いらしたらこっそりご連絡ください。何なら一緒にやろう。
— 麻 (@asa_co) July 9, 2023
あとはやっぱりこれ、「別れ」の話をやりたい。ていうか一回きちんとやらないと限界を迎える気がする。これに関しては私以外のひとの話も聞きたい(書いてもらいたい)気持ちがめちゃめちゃあるんですが、誰かやりませんか… https://t.co/6WRUREeTTb
— 麻 (@asa_co) December 18, 2023
新型コロナが蔓延する前からぶつぶつつぶやいていたことを、本気でやるぞ! と決心したのがちょうど一年前、2023年の終わりごろでした。文学フリマ東京の会場がついにTRCから東京ビッグサイトに移ることも発表され、絶対に出たい、どうせならそこに向けてアンソロジーを作ろう、とも思いました。
2024年の年明けから動かすつもりでいたのですが、こんなことやろうと思ってるんだ〜よかったら書かない? と書いてくれそうな友人にゆるく相談したりしながらぼんやり考えているうちにどんどん時間が経ってしまい……結局、7月に入ってからあわてて始動させました。
さりげなく声をかけて感触がよかったり、旧ツイッターの匂わせ(……)の投稿にリアクションをくれたり、興味がありそう……と感じたお知り合い(私の管理能力に限界があるため、オフラインでお会いしたことがあるかたのみにお声がけしました)にアンケート形式でざっくりご意向を伺い、8月あたまに正式に依頼、10月のあたまが原稿提出の締切、という執筆者のみなさまになかなか負担をかけるスケジュールになってしまいました。にもかかわらずみなさまたいへん協力的で、ほんとうに助かりました……
また、今回は表紙のデザイン及びデータ作成を実駒さんにお願いしました。これまで、個人誌でも複数名による合同誌でも表紙はすべて自作でまかなっていて、それは単純にあまりにも制作に余裕がなく、背幅の確定も入稿直前、表紙は最後の最後に泣きながら数時間で間に合わせるというありさまで、とても計画的に依頼するどころではなかったというだけの理由なのですが……、そして今回も実はわりとギリギリのお願いになってしまったのですが、快くお引き受けいただき、素晴らしい表紙に仕上げていただきました。
それだけでなく、深夜に入稿でテンパる私をあたたかくサポートしてくださった実駒さんには足を向けて寝られません……ほんとうにありがとうございます! 得意だよ〜手伝うよ〜と言ってくれているひとの手を借りるのって、いいな……! としみじみ思いました……
ありがたいことに11月1日の最初の告知から(私の体感では)大きめの反響があり、BASEで受け付けた予約にもたくさんご注文をいただき、12月1日の文学フリマ東京39当日にも私の想定をこえる部数を手渡すことができました。
私がつくる本は最初からどんどん出ていくということがなく、わりと時間をかけてじわじわ在庫がなくなっていくのですが、このアンソロジーはかなり初動がはやく、あわあわしつつもとてもうれしいです。
そうそう、本屋lighthouseさん・日々詩編集室さんといういずれも素敵な選書をされている本屋さんにお声がけいただき、お店に置いてもらえることになったのもとてもうれしいです。どちらも「このラインナップのなかに入れてもらえたら最高だな……」とつねづね思っていたお店なので……
執筆者が10人以上の規模のアンソロジーをつくるのは2015年に『きみとダンスを 百合詞華集』という短歌を中心とした百合アンソロジーをつくって以来なのですが、14人の執筆者のうち『きみとダンスを』から引き続きでご参加くださっているかたが半分くらい、今回はじめてアンソロジーでご一緒することになったかたが半分くらいでした。
文学フリマで頒布されるような読みものに寄稿するのは『きみとダンスを』以来です、というかたもおられ、またここ数年は文学フリマではあまり活動していない……というかたの文章をお届けすることもできたのかな、と思っています。
私はひとりで完結しがちな人間で、人を巻き込んだり場を作ったりすることも不得意です。それでも仲間に入れてくれる人たちはいて、わいわい文学フリマに出ていた時期もあったのですが、新型コロナ蔓延以降は、ひとりで淡々と本をつくってイベントに出る、というまだ秋葉原で開催されていた文学フリマにおそるおそる参加しはじめたころを思い出す感じに戻っていました。
また、2022年から2023年にかけては賃労働に追い詰められてしまい、とくに2023年の秋の文学フリマ東京37に出たときは転職に2度失敗し、長年好きだったバンドのヴォーカリストも急逝し……という踏んだり蹴ったりの状態で、イベントでお会いしたかた全員に「大丈夫?」と心配されてしまうありさまでした。正直、かなり疲弊していて、このさき何かを書いて本をつくって渡すことなんてもう無理かも、という気持ちでした。
あれからたった一年のあいだに、約10年ぶりでアンソロジーをつくって、たくさんのかたに読んでもらえるなんて予想もしていなかったことで、夢みたいです。ひとりでやるより何人もでやったほうが遠くまで届くことがある、ということもあらためて感じました。「別れ」がテーマのアンソロジーですが、再会も含めてたくさんの出会いを連れてきてくれた気がします。
参加してくださったかた、手にとってくださったかた、関わってくださったみなさまのおかげです。ほんとうにありがとうございます。
来年は引き続き『わかれについてのエトセトラ』を持ってイベントに参加しつつ、10人以上という規模ではないのですが、複数名での合同誌もつくれたらいいなと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
12月18日はりっぱさんによる「2024年 絵文相乗」の予定です!
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